| このコンテンツでは、未展翅標本の展翅の方法を記載します。 昆虫の展翅は一見簡単そうに見えて大変奥の深い作業です。かといって決して難しい作業ではありません。この章を良く読んで頂いて、手段を学んでいただければ、一生涯の趣味となることでしょう。 実際の蝶の展翅例です。このまま暫く放置します。 |
| 1.乾燥標本の軟化のしかた |
@熱湯注射 煮たったお湯を注射器にとり、すぐ胴体の中に注射します。この時、左手の人さし指と親指で胴を持ち両方の指で外側から圧する様にします。 火傷の危険性があるため、この方法は軟化を急ぐときにしか使わない方が良いでしょう。 A放置軟化 クッキーやあられなどの空き缶を用意して、中に2cm位の厚さに砂か綿を敷き詰め、その上から適量の水を含ませます。(この際に用いる砂か綿は、湿気を逃がさないために入れます。) ただし、水が多いとカビが生えるもとになりますから注意して下さい。水を浸した砂又は綿の上に、三角紙に入ったままの蝶を斜めに入れ、蓋をします。横に寝かせて砂や綿の上に置くことは避けましょう。 夏なら大きい蝶で3日〜5日、小さいもので2日から3日、この箱の中に入れておくと適当な湿り気が蝶の体に入り、軟らかくなります。 冬は夏より2〜3日長く入れて、暖かい部屋においておくとよいでしょう。 もし、軟化中にカビが生えたらエタノールできれいに拭き取ります。カビはアルコールに弱い為、きれいにとれます。 |
上記(A)Aの方法が最も良いと思います。甲虫の腹面を下にして肢を軟らかくします。 それでも肢が硬い場合には、古い鍋やポットでいらなくなったものを用意します。湯を煮立たせ、その中に甲虫を入れ、大きいもので3分位、小さな甲虫で1分位煮たてます。取り出して、軟らかくなったかどうか前肢を引っ張ったりして整形します。(昆虫独特の臭気がありますので、換気を行える環境だとベストです。) |
上記(A)のAの方法で、セミの場合は背面を下にして、トンボの場合には三角紙に入れたままで軟らかくして下さい。 |
| 2.展翅、展肢(展足)の方法 |
| <必要な道具> 展翅板(甲虫系は不用)、昆虫針(まち針)、パラフィン紙、柄付き針、標本箱 画像はここを参照してください。 |
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甲虫の場合は、平たい台があれば充分です。そのため、甲虫の方が展翅板を購入しない分、簡単で安上がりとも言えます。 段ボールで出来た、箱を潰し、縦20cm、横10cm程度のボール板を3枚作ります。これらのボール板をボンドで重ね合わせるように貼り合わせます。この上に展翅する甲虫をのせれば良いのです。(針を刺す深さを考慮して3枚としていますが、2枚でも可能です。) 前肢は前方に、中肢、後肢は後方に形良く整えます。その際に、昆虫針やまち針を使用します。形は好みがありますが、初めての場合は、当サイトにて扱っている標本の写真を参考にてして下さい。 甲虫は展肢をしたら、風通しのよい日光の当たらないところで10日位置いておきましょう。(蝶に比べて、比較的光が当たってもかまいません。) |
捕りたてのトンボの場合には殺したとき(死んだとき)にすぐ、お尻から細い針金を真っ直ぐ入れておき、胴が曲がったり、胴が節ごとにバラバラに壊れるのを防ぎます。 トンボは捕ってすぐ殺してはなりません。捕ったら三角紙にハネをたたんで生きたままいれておくのです。そうすると、三角紙の中で、トンボは1日〜2日生きつづけ、その間に体の中の排泄物(糞)をお尻から出します。出し終わるとすぐ死にます。この時点で、まだ体が軟らかいうちにすぐ、お尻から細い針金を真っ直ぐに胴体まで差込みます。(可哀想ですが、こうしなければ標本は上手く仕上がりません。)こうしておくと、トンボの腹部は真っ直ぐにピンとしたままで壊れません。 その作業が終わっていれば、後は基本的には蝶などと同様の方法で展翅が可能です。トンボの場合、蝶と同様に、肢よりも翅の美しさを重要視する場合が多いです。 |
甲虫と同じです。但し、長い触角(ヒゲ)がありますから、lこのヒゲを後に長くのばすか、前にピンとのばすか皆さんの好みによって仕上げてください。 尚、昆虫針の刺す場所は腹部の真中の胸に近いところに刺します。この位置だけが甲虫と異なっています。 |
| 3.標本箱への格納 |
その際、標本を維持するために、市販ンナフタレン等を入れると一層長持ちします。尚、ナフタレン等ン防虫剤は、年1回を目安に交換すると良いでしょう。 |

| 以上が昆虫標本を作成する方法の概要です。 展翅の方法は、見せ方の好みにより色々な形になります。当サイトに掲載してある標本を参考として、研究してみてください。 最後に、度々のお願いで恐縮ですが、展翅を行う標本を捕獲する際、決して同一種の過剰捕獲や、乱獲は行わないように、この場を借りてお願い致します。 昆虫との自然な付き合いが生涯に渡って続くといいですね。 |