昆虫の環境適応能力

はじめに
地球が誕生してから約40億年、途方もなく長い時間が過ぎてきました。その間、地球は海を創り山を噴火させるなどの自然活動を行い、そして環境が整った今から約3億年前、「ステノドクティア」と呼ばれるカゲロウ系の生物が誕生しました。
そして一般的にこれが最初の昆虫だろうと言われています。その頃は巨木が陸上を覆いつくし、そのあいだをぬって翅の開帳70cmもあるようなトンボの仲間や「ステノドクティア」などが昆虫の世界を作り出していきました。

それから長い年月が過ぎ、昆虫はその時々の環境の変化に自分自身を適合させ進化を遂げてきました。この”自分を周りの環境に適合させる進化”、これこそが昆虫を現在まで生きながらえさす知恵だったのです。(いわゆる「擬態」等)

今、陸上には約1000万種位の生物が生息していると言われており、昆虫はこのうち約70%をしめるのではないかと言われています。このまま人間が自ら、核、水銀、農薬、排気ガス、森林伐採等で環境を破壊していくと、将来、人間が滅びて昆虫が地球を支配する時代が来るかもしれません。それ程、昆虫たちは与えられている環境を大切に守り、その環境に順応し進化する能力を持ち合わせているのです。
以下にいくつかの例をあげてみます。

コノハムシ
マレーシア等の東南アジアの熱帯区に分布するナナフシの仲間。 木の葉にそっくりな体型をとっており、擬態により鳥類などの天敵から身を守ります。

コノハチョウ
沖縄を含む東南アジアに分布。翅の表面は紫を基調とした美しい色をしています。危険を察知すると木立の中に逃げ込み、翅を閉じ、頭を下にして枝にとまります。その段階になって初めて判明するのですが、翅の裏側は枯葉そっくりで葉脈の様なものまで有り、ご丁寧にも 虫食いの後の様な模様までついています。このようにして完全に近い擬態をとることにより、天敵の目を欺きます。

フクロウチョウ
大型のワモンチョウの仲間で、南アメリカ北部を中心に分布しています。この蝶は外敵におそわれると林に逃げ込み、コノハチョウと同様に翅を閉じて逆さに枝にとまります。
そして鳥などの外敵が追ってくると、突如翅を広げます。その翅(下翅)の裏側には大きなフクロウの目玉のような模様がついており、鳥等は天敵であるフクロウがいると感じ、逃げ、かくしてフクロウチョウは安全を得ることができます。

ミツバチ
ミツバチの天敵の一つに「スズメバチ」があります。体格的、能力的にもスズメバチに劣るミツバチは、おそわれた場合、スズメバチを大群で取り囲み翅をすりあわせ摩擦力により付近の温度を上昇させます。スズメバチの死滅温度は45℃ですが、ミツバチのそれは48℃であり、それによってスズメバチの追い払い(もしくは死)により勝利を納めます。

夜空を無数に飛び回る「蛾」。また、都会ではあまり見かけなくなりましたがそれを餌とする「コウモリ」も餌を求め多く飛び回っています。ある種の蛾はその「コウモリ」から身を守るため、翅の下に2つの穴を持つようになりました。この穴でコウモリの出す超音波をキャッチして逃れるためです。これは本当に一部の種類に限定されており、かつ不完全なものですが種の保存をはかる一つの形です。

多くの生物(無生物を含む)間で食物連鎖が反復され、森や林の土地は肥え、植物は繁茂していきます。これこそが自然環境の保全でありこの環境保全の主役の一人が昆虫たちなのです。この小さな生き物たちの生態を知れば知るほど昆虫の存在は、より身近なものとなる事でしょう。